法規制

登録ストックヤード制度とは【最終搬出先の確認が不要になる仕組み】

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登録ストックヤード制度とは【最終搬出先の確認が不要になる仕組み】

令和6年6月1日から、元請業者には建設発生土最終搬出先まで確認する義務がかかっている。中間にストックヤードが入ると、そこから先の行き先を元請が自分で追いかけて書面化しなければならない。

ただし、この追跡義務には抜け道ではなく制度として用意された出口がある。搬出先が国交通大臣の登録を受けたストックヤードであれば、その先の確認は不要になる。これがストックヤード運営事業者登録制度だ。

排出側にとっては書類負担を切る手段であり、ストックヤードを持つ事業者にとっては選ばれる条件になる。制度の中身を国土交通省の公表資料をもとに整理する。


目次

  1. 制度の目的と根拠
  2. 元請から見たメリット――追跡が止まる
  3. 登録の拒否要件
  4. 登録事業者に課される業務
  5. 事業年度ごとの年報
  6. 国による監督と登録取消し
  7. 登録簿の公表とマッチングへの効果
  8. 申請の窓口と有効期間
  9. まとめ

1. 制度の目的と根拠

制度の根拠はストックヤード運営事業者登録規程(令和5年国土交通省告示第157号)資源有効利用促進法の省令改正(第2弾)と連携して創設された、国土交通大臣による登録制度だ。

国土交通省が示す目的はこうだ。ストックヤードに搬入された建設発生土の適正処理に資するため、適正処理の観点で一定の要件を満たすストックヤード運営事業者を国に登録する。これにより優良なストックヤード運営事業者を育成し、建設発生土の適正処理およびリサイクルを促進する。

施行と運用開始は盛土規制法の施行に合わせた令和5年5月26日、申請受付も同日に開始された。そして最終搬出先確認の義務化は、事業者の登録期間を1年間設けたうえで令和6年6月1日から施行されている。

背景にあるのは2021年7月の熱海市土石流災害だ。制度全体の流れは建設発生土の搬出先明確化義務で3段階に分けて整理している。


2. 元請から見たメリット――追跡が止まる

元請業者は、搬出先からさらに他の搬出先へ土が搬出された場合、最終搬出先まで確認した書面を作成し5年間保存しなければならない。ただし搬出先が次のいずれかであれば、その確認が不要になる。

  1. 国又は地方公共団体が管理する場所
  2. 他工事利用の場合であって当該建設工事の現場等
  3. ストックヤードのうち国土交通大臣の登録を受けた場所

②の他工事利用は工程が噛み合ったときにしか使えず、①も選べる場面が限られる。恒常的に使えて、かつ土量やタイミングの融通が利くのは③だ。

国土交通省の説明資料には、大手ゼネコンの想定コメントとして次の趣旨が紹介されている。令和6年6月以降は元請業者が最終搬出先を確認することが必要になるが、ストックヤードを経由する場合は最終搬出先までの追跡が困難になることが想定されるため、登録ストックヤード事業者を活用する予定である。発注者からもコンプライアンスを厳しく求められることがあり、取引のあるストックヤード事業者には早期の登録を働きかけている――という内容だ。

つまり、非登録のストックヤードは元請から敬遠される構造になっている。ストックヤードを運営する側にとって、登録の有無はそのまま受注機会の差になる。

ストックヤードの選び方全般は残土ストックヤードの選び方にまとめている。


3. 登録の拒否要件

登録は誰でも受けられるわけではない。国土交通省が示す拒否要件は次のとおり。

  • 破産者、禁固刑を終え5年以内の者、不正又は不誠実な行為をするおそれのある者、暴力団等の関与がある者 など
  • 登録取消し後5年以内の者や、盛土規制法などの法令による是正命令等を受けている者 など

盛土規制法の是正命令を受けた事業者が排除される点は、制度の趣旨からして当然だが実務上は重い。搬出先を選ぶ側から見れば、登録されているという事実そのものが一次スクリーニングとして機能する。


4. 登録事業者に課される業務

登録すれば終わりではなく、登録事業者は継続的な業務を負う。国土交通省が示す業務は次のとおり。

搬入時

  • ストックヤードに土砂が搬入された場合、搬入元に受領書を交付する

排出側の元請は、この受領書を受け取って写しを5年間保存する。受領書を出さない搬出先は、元請の義務が果たせないため使えない。

搬出前

  • 搬出先の適正性(盛土規制法の許可等が行われているか)を確認し、書面を作成する
  • 土砂の運搬を行う者に搬出先の適正性確認結果を通知する
  • 運搬費等の代金を適切に反映する

搬出後

  • 搬出先より受領書の交付を受け、事前に適正性を確認した搬出先と一致することを確認する
  • 作成した書面や受領書を5年間保存する
  • 過積載が横行したり不法投棄等を招かないよう、法令遵守の指導を徹底する

さらに先へ搬出された場合

搬出先からさらに他の搬出先へ搬出された場合は、最終搬出先までの搬出先を確認した書面を作成する。ただし搬出先が①国又は地方公共団体が管理する場所、②他工事利用の場合であって当該建設工事の現場等、③登録ストックヤードのいずれかである場合は、その後の確認は不要とされている。

国土交通省は書面の参考様式として「搬出先適正確認記録」「最終搬出先記録」を公開している。

要するに、元請が負っていた確認義務と同型の義務を、登録ストックヤード事業者が引き継ぐ構造だ。だから元請の追跡がそこで止まる。義務が消えるのではなく、担い手が移る。


5. 事業年度ごとの年報

登録事業者は、ストックヤードの土砂の搬出入管理および記録の保存を行い、事業年度ごとに管理状況年報を国に報告する。

実務上は、申請時に設定した事業年度の開始日から1年が経過した後、3か月以内に搬入・搬出管理年報を申請先である地方整備局等へ報告する。年報には期間中に搬入した土砂等の量の合計などを記録する。

搬入時に使う様式としては土砂搬入搬出管理票が用意されており、搬入量は地山量で記録する運用になっている。土量の記録単位を取り違えると年報が合わなくなるので、地山量・ほぐし量のどちらで管理しているかは社内で統一しておきたい。土量の考え方は発生土量の計算方法を参照。


6. 国による監督と登録取消し

国はストックヤード運営事業の適正な運営を確保するため、登録業者に対して次の対応を行う。

  1. 業務に関する報告又は資料提出の請求
  2. 業務に関する不正・不誠実行為等に対する勧告等
  3. 不正登録や虚偽報告、勧告等の無視、盛土規制法などの法令による勧告や改善命令を受けた場合等における登録取消し

国土交通省は登録簿とあわせて勧告一覧・取消一覧も公表している。登録は静的な資格ではなく、運用が監視される前提の制度だ。


7. 登録簿の公表とマッチングへの効果

国はストックヤード運営事業者のリストを公表しており、その際に搬入・搬出する土の種類、連絡先等を掲載するとされている。国土交通省のサイトでは全国の登録簿に加え、地方整備局等ごとの登録簿も公開されている。

ここが実務的に効く。従来、ストックヤードの受入条件は業者に個別に電話して聞くしかなかった。登録制度によって「どこに、どんな土を受けるヤードがあるか」が公的に一覧化された。

もっとも、公表されるのは登録事業者の情報であって、今この時期に、この土質を、この量だけ受けられるかという稼働情報ではない。空き容量や受入時期は結局のところ個別の照会になる。ここが排出側にとって残る手間だ。

ツチオクでは全国のストックヤード情報を検索できるようにしている。あわせて、排出側の土質・数量・時期と受入側の条件を突き合わせるマッチングの場として運用している。


8. 申請の窓口と有効期間

  • 申請先: 主たる事務所(本社等)を管轄する地方整備局等へ電子メール等で申請
  • 有効期間: 5年間。登録を継続する場合は5年ごとに更新が必要
  • 標準的な所要期間: 国土交通省の説明資料では、登録手続きに1〜2か月の期間を要するとされている

申請様式としては、申請書ファイル、役員の住所等調書、土砂搬入搬出管理票ファイル(新規登録時)、土砂搬入搬出管理年報ファイル、廃業等届出書、標識の様式などが国土交通省のサイトで公開されている。国土交通省は「新規申請の手引き」「登録ストックヤード運営事業者の実施業務の手引き」も公開しており、実務はこの2つを読むのが早い。


9. まとめ

  • 根拠はストックヤード運営事業者登録規程(令和5年国土交通省告示第157号)。令和5年5月26日運用開始の大臣登録制度
  • 元請は令和6年6月1日から最終搬出先の確認義務を負うが、登録ストックヤードへの搬出ならその先の確認が不要になる
  • 拒否要件には盛土規制法等による是正命令を受けている者が含まれる。登録の有無が一次スクリーニングになる
  • 登録事業者は搬入元への受領書交付、搬出先の適正性確認、受領書の突合、書面と受領書の5年保存、法令遵守指導を担う
  • 事業年度終了後3か月以内に搬入・搬出管理年報を地方整備局等へ報告する
  • 国は登録簿を公表し、搬入・搬出する土の種類や連絡先を掲載する。勧告・取消一覧も公表される
  • 有効期間は5年、更新制。申請は本社所管の地方整備局等へ

排出側にとっては、登録ストックヤードを使うかどうかで書類の量が変わる。ストックヤードを運営する側にとっては、登録が受注の入口条件になりつつある。どちらの立場でも、搬出先を決めるときに登録の有無を確認する習慣をつけたい。