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建設発生土の土質改良とは【改良土の区分・固化材の選び方・品質基準】

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建設発生土の土質改良とは【改良土の区分・固化材の選び方・品質基準】

「この土は柔らかすぎて受け入れてもらえない」「第4種相当だから搬出先がない」。現場でそう言われたときの選択肢が土質改良だ。土の性状を人工的に変えて、受入先が要求する区分・物性まで引き上げる。

ただし土質改良は「とりあえずプラントに持っていけば片付く」処理ではない。何をすると改良土になるのか、固化材はどちらを選ぶのか、六価クロムの試験は誰がいつ実施するのか、そして改良した土は誰が引き取るのか。ここを整理せずに搬出すると、費用をかけたのに行き先が決まらないという事態になる。

この記事では、排出側の建設会社が押さえておくべき質改良の全体像を、国土交通省の基準と業界団体の品質基準(一次資料)に基づいて整理する。


目次

  1. 「処理土」と「改良土」は別物――土質改良の定義
  2. 改良土の区分は改良後の性状で決まる
  3. 石灰系とセメント系――固化材の使い分け
  4. 六価クロム溶出試験は誰がいつ実施するのか
  5. 改良土に求められる品質基準
  6. 落とし穴は「持ち込んだ後」――セット利用と出荷率25%の実態
  7. 改良して出すか、そのまま出すか
  8. まとめ

1. 「処理土」と「改良土」は別物――土質改良の定義

まず用語を揃える。実務では乾燥も混合も一括りに「改良」と呼ばれがちだが、基準上は明確に区別されている。

独立行政法人土木研究所編著「建設発生土利用技術マニュアル第4版」は、次のように定義している。

脱水、乾燥、粒度調整や安定処理等の土質改良を行い、その性状を改良した発生土を総称して「処理土」という。このうち、セメント系や石灰系の固化材を混合し土の性状を化学的に改良することを「安定処理」といい、安定処理された土を「改良土」という。なお、「改良土」以外の「処理土」は処理後の性状に応じて改良土以外の細区分に分類する。

整理すると次のようになる。

処理の種類 具体例 基準上の呼び方
物理的な処理 天日乾燥・脱水・ふるい分けによる粒度調整 処理土(改良土以外の細区分に分類)
化学的な安定処理 セメント系・石灰系固化材の混合 改良土

この違いは書類上の扱いに直結する。天日乾燥で含水比を下げた土は、あくまで建設発生土の各区分(第1種〜第4種、泥土)のいずれかとして扱われる。一方、固化材を混ぜた土は「改良土」という別の細区分になり、土質材料の工学的分類でも大分類は自然材料ではなく人工材料になる。

なお、乾燥・脱水・粒度調整でも適用用途の評価を満たせるなら、それで十分だ。全国建設発生土リサイクル協会(JASRA)の改良土品質基準も、こうした処理土が「適用用途の評価において使用可能であれば、積極的に有効利用すべきである」としている。固化材を混ぜることが目的ではなく、受入先の要求を満たすことが目的だという順序を取り違えないほうがいい。

含水比を下げるだけで搬出先の選択肢が広がるケースについては建設発生土の含水比と処分先選定にまとめている。


2. 改良土の区分は改良後の性状で決まる

改良土にも建設発生土と同じく区分がある。指標は同じくコーン指数(qc)だ。

細区分 コーン指数 qc(kN/m²) 工学的分類(大分類/中分類)
第1種改良土 人工材料/改良土
第2種改良土 800以上 人工材料/改良土
第3種改良土 400以上 人工材料/改良土
第4種改良土 200以上 人工材料/改良土

重要なのは、改良土の土質区分は改良後の性状で判定されるという点だ。たとえば第3種改良土とは、第4種建設発生土または泥土を安定処理し、コーン指数400kN/m²以上の性状に改良したものを指す。元の土が悪くても、改良後の試験値が判定基準になる。

区分ごとに適用できる用途の目安も定められている。改良土の適用用途標準では、工作物の埋戻し・道路用盛土(路床/路体)・河川堤防・土地造成・鉄道盛土・空港盛土・水面埋立といった用途別に、そのまま使用可能(◎)、適切な安定処理を行えば使用可能(〇)、〇と比べて安定処理にコストと時間がより必要(△)の3段階で評価される。第1種・第2種改良土はほぼ全用途で◎、第4種改良土は工作物の埋戻しや路床で△だ。

留意事項の記号も実務上は見落とせない。

  • 最大粒径注意:利用先で材料の最大粒径または一層の仕上がり厚さが規定されているもの
  • 表層利用注意:表面への露出により植生や築造等に影響を及ぼすおそれのあるもの
  • 施工機械の選定注意:過転圧などの点で問題があり、締固め等の施工機械の接地圧に注意を要するもの
  • 淡水域利用注意:淡水域に利用する場合、水域のpHが上昇する可能性があるもの

改良土は「固めた土」なので、生の土とは施工上の癖が違う。過転圧で強度が落ちる、表層に出すと植生が育たない、水域のpHを上げる。受入先が改良土の使用場所を限定するのはこのためだ。

元の建設発生土の区分については第1種〜第4種建設発生土の違いで解説している。


3. 石灰系とセメント系――固化材の使い分け

安定処理に使う固化材は大きく石灰系とセメント系に分かれる。どちらでもよいわけではなく、選定基準がある。

再掘削が想定される箇所は石灰系

JASRA改良土品質基準は、改良土を再掘削が検討されている箇所で使用する場合の固化材は石灰および石灰系固化材とすると定めている。理由は、石灰がイオン交換反応で土粒子を団粒化し、塑性指数を下げる効果を持つためだ。カチカチに固めるのではなく、掘り返せる状態のまま扱いやすくする。固化材配合後は3日間程度経過したものを使用する。

セメント系は締固めのタイミングが厳しい

セメント及びセメント系固化材を用いた改良土は、固化材配合後、原則として1日以内に土質改良プラント内で締固めを行う。再掘削が検討される箇所に使う場合は、配合後1日以内に締固めたうえで、その後7日程度経過してから解砕・粒度調整を行った改良土を用いる。

つまりセメント系は「混ぜたらすぐ締める」が原則で、日程の自由度が低い。プラントの製造計画と現場の搬入日程が噛み合わないと、規格どおりの改良土にならない。

施工後にも制約が残る

改良土は周辺へのアルカリ溶出に注意が必要で、必要に応じて覆土などの対策を行う。土木構造物の裏込めに使う場合は、施工中・施工後に水が集まりやすく改良土の劣化や崩壊の要因になるため、地下排水溝の設置や施工中の排水勾配確保、有孔パイプなどの管状排水材の設置といった排水対策が求められる。


4. 六価クロム溶出試験は誰がいつ実施するのか

セメント系固化材を使う場合に必ず付いてくるのが六価クロム溶出試験だ。国土交通省「セメント及びセメント系固化材を使用した改良土の六価クロム溶出試験実施要領(案)」が実施方法を定めている。

対象になる工事

要領の対象工法表には、地盤改良工(深層混合処理・高圧噴射撹拌・スラリー撹拌・薬液注入)、表層安定処理工、路床安定処理工、舗装工(セメント安定処理による上層・下層路盤)、仮設工(ソイルセメント柱列壁)が挙げられている。さらに備考で、土砂にセメント及びセメント系固化材を混合した改良土を用いて施工する盛土・埋戻・土地造成工法についても対象と明記されている。一方、石灰安定処理工法・石灰パイル工法・置換工法などは対象外とされている。

試験の種類

要領は用途別に試験を整理している。原地盤を改良する場合が試験方法1〜3、改良土を再利用する場合が試験方法4〜6だ。

試験 実施タイミング 内容
試験方法1 配合設計の段階 環境庁告示46号溶出試験。固化材が適切かを確認
試験方法2 施工後 改良地盤からサンプリングした試料で告示46号溶出試験
試験方法3 施工後 タンクリーチング試験。塊状試料を溶媒水中に静置して測定
試験方法4 配合設計・プラント品質管理・供給時の品質保証 再利用する改良土の溶出量が土壌環境基準値以下かを確認
試験方法5・6 施工後 試験方法2・3と同じ内容を、改良土を施工する者が実施

判定基準は土壌環境基準で、六価クロムは0.05mg/L以下だ。

省略できる場合と、できない場合

試験方法1で六価クロムの溶出量が土壌環境基準を超えなかったセメント系固化材を地盤改良に使用する場合、試験方法2および3は不要とされている。ただし火山灰質粘性土を改良する場合は、試験方法1の結果にかかわらず試験方法2および3を実施しなければならない。 火山灰質粘性土を扱う地域では、この特則が工程と費用に効いてくる。

タンクリーチング試験(試験方法3)は、改良土量5,000m³程度以上または改良体本数500本程度以上の工事のみが対象で、試験方法2で溶出量が最大値を示した箇所の1試料について実施する。

排出側・供給側の義務

再利用のための改良土については、試験は改良土の発生者(供給する者)が実施し、利用者(施工する者)に試験結果を提示しなければならない。利用者側も発生者から試験結果の提示を受けなければならない、と要領は定めている。書類が揃わない改良土は、受入側から見れば使えない土だ。

配合設計を行わない場合は、製造時の品質管理または供給時の品質保証のための土質試験の試料を用いて、1,000m³程度に1検体の割合で告示46号溶出試験を行う。試験費は共通仮設費の技術管理費等に「六価クロム溶出試験費」として別途見積により積み上げ計上する扱いだ。改良費の中に埋もれさせず、独立した費目として見積に載る。


5. 改良土に求められる品質基準

自治体に改良土の品質基準がある場合はそれに準拠する。基準がない場合の目安として、JASRAが令和7年9月に第一版を公表した改良土品質基準が参考になる。

必須項目

項目 基準値 試験方法 試験頻度
コーン指数 qc 200/400/800 kN/m²以上(用途による) 締固めた土のコーン指数試験(JIS A 1228準拠) プラント製造量5,000m³もしくは1か月に1回、または土質変化時
六価クロム 0.05mg/L以下 六価クロム溶出試験(セメント系固化材使用時のみ) 同上

供試体の作製は「安定処理土の突固めによる供試体作製」(JGS 0811)に準拠し、1層ごとの突固め回数25回の3層とする。養生条件はセメント系固化材で空気中3日・水浸4日、石灰系固化材で空気中6日・水浸4日が標準だ。固化材の種類で養生日数が違うため、試験結果が出るまでのリードタイムも変わる。

推奨項目(工作物の埋戻し・道路用盛土)

  • 最大粒径:100mm以下(路盤下部等)/20mm以下(管周辺部等)。最大粒径は各発注機関との協議により決定する
  • CBR:設計上必要となる改良土のCBR以上(CBR≧3%)。CBRが20%を超える場合は上限20%として評価する。試験はJIS A 1211、供試体は1層67回の3層
  • 最大乾燥密度・最適含水比:土の締固め試験(JIS A 1210)を当初および土質変化時に実施

現場側の品質管理としては、現場密度の測定(砂置換法 JIS A 1214)で路体相当は最大乾燥密度の90%以上、路床相当は95%以上が必須項目とされる。

自治体基準はこれより厳しいことがある

たとえば名古屋市緑政土木局「埋戻材として利用する建設発生土及び改良土特記仕様書」(令和8年4月)は、市の埋戻材として使う改良土に、コーン指数800kN/m²以上・標準CBR 10%以上・細粒分(75μm以下)25%以下・最大粒径50mm以下・出荷時含水比は締固め度90%相当の含水比以下・土壌溶出量および含有量基準への適合を求めている。同市は市所管工事で使う改良土を製造する土質改良プラントの認定制度も持っており、区ごとに利用できるプラントが指定される運用だ。

搬出先の自治体基準を先に確認してから改良仕様を決める。順序を逆にすると、規格外の改良土が手元に残る。


6. 落とし穴は「持ち込んだ後」――セット利用と出荷率25%の実態

土質改良で最も見落とされやすいのが、改良した土の行き先だ。

JASRAの調査結果によれば、土質改良プラントにおける改良土の出荷率(利用率)は25%に過ぎず、75%は残土処分されている。建設発生土を有効利用するためのリサイクル施設であるはずの土質改良プラントが「残土処分地」化している実態がある、と同協会は指摘している。

この状況に対して、自治体側はセット利用のルールを設けている。建設発生土をプラントに搬入するなら、同量の改良土を引き取って使え、という考え方だ。

  • 東京都「東京都建設リサイクルガイドライン」:指定処分を行う工事が土材料を調達する場合は、建設発生土を搬出する同一の搬出先から土材料を調達すること(セット利用)を原則とする
  • 相模原市「改良土の使用に関する共通特記仕様書」:原料土をプラントに搬入する際は、原則として搬入する原料土と同量の改良土を搬出する
  • 横浜市:土質改良施設の利用にあたり、利用者は建設発生土の同量以上の改良土搬出を義務付け
  • 堺市「上下水道局施設工事共通仕様書」:原則として、建設発生土の受入れ及び改良土の購入は同一プラントとする
  • 豊田市・鳥取市「建設発生土の処理及び改良土の使用に関する取扱事務要領」:工事間流用ができない建設発生土は土質改良プラントに搬入し、改良土として再利用できるように処理する

さらに注意点として、茨城県・栃木県等の市町村の土砂条例では改良土を認めていないため、改良土を残土処分場へ搬出できないケースがある。改良すれば必ず出口が広がるとは限らない。

プラントに搬出する前に、改良土の利用先が確定しているか。 これがセット利用ルールの本質であり、排出側が最初に確認すべき項目だ。


7. 改良して出すか、そのまま出すか

排出側の判断軸を整理する。

そのまま出せないか先に探す。 第3種・第4種相当でも、盛土材や造成材として受け入れる現場は存在する。改良費をかける前に、現状の区分で受け入れる先があるかを確認したほうが総コストは下がることが多い。受入先の探し方は残土ストックヤードの選び方を参照してほしい。

含水比だけの問題なら物理的処理を検討する。 天日乾燥や水切りで区分が1ランク上がるなら、固化材を混ぜて改良土にするより安く済み、六価クロム試験も不要になる。

改良するなら出口から逆算する。 受入先の自治体基準(コーン指数・CBR・最大粒径・細粒分)と、再掘削の有無(石灰系かセメント系か)と、必要な試験(六価クロムの要否、火山灰質粘性土の特則)を先に確定させる。仕様が決まってから改良に入る。

セット利用の条件を確認する。 同量の改良土を引き取る義務があるなら、その改良土を使う現場を先に押さえる。引き取り先がないままの搬入は、処分費の付け替えにしかならない。

改良土そのものを購入土の代替として活用する視点も持っておきたい。新材を買う代わりに改良土を使えば、調達コストと搬入距離の両方を削れる。この観点はリサイクル土の活用で詳しく扱っている。

排出側から見て難しいのは、「どの受入先が、どの区分の土を、どんな条件で受け入れるか」が事前に見えないことだ。ツチオクは建設発生土・残土のマッチングプラットフォームとして、排出側の土質・数量・時期と受入側の条件を突き合わせる場を提供している。改良前の土でそのまま出せる先が見つかれば、改良費そのものが不要になる。愛知県内の受入動向は愛知県の残土・建設発生土エリア情報も参考になる。


8. まとめ

  • 乾燥・脱水・粒度調整は「処理土」、セメント系・石灰系固化材による化学的な安定処理が「改良土」。基準上は別物で、書類の扱いも変わる
  • 改良土の区分は改良後の性状で判定される。第4種建設発生土や泥土でも、コーン指数400kN/m²以上に改良すれば第3種改良土になる
  • 固化材は再掘削の有無で選ぶ。再掘削が想定される箇所は石灰系、セメント系は配合後原則1日以内の締固めが前提
  • セメント系を使うと六価クロム溶出試験が付いてくる。判定は0.05mg/L以下、火山灰質粘性土は施工後試験の省略が認められない。試験結果は供給側が利用側へ提示する義務がある
  • 品質基準はコーン指数・CBR・最大粒径・細粒分。自治体基準がある場合はそちらが優先で、名古屋市の改良土規格はコーン指数800kN/m²以上・標準CBR 10%以上
  • 最大の落とし穴は出口。土質改良プラントの改良土出荷率は25%にとどまり、多くの自治体がセット利用を原則化している。改良土の利用先を確定させてから搬出する

土質改良は費用をかけて土の価値を上げる作業だ。上げた価値を引き取る相手が決まっていなければ、費用だけが残る。改良の可否を検討する前に、まず現状の土で出せる先を探すことをすすめたい。